prague clarinet days リポート  プラハ 6月30〜7月7日

キャンププラネッツミュージックの田中正敏がチェコ・プラハのクラリネットデイズに講師として参加しました。受講生として参加した、キャンププラネッツアーティストでもある、尾方・添石・大沼からリポートが届きました!

  


 師匠である田中正敏氏がプラハクラリネットデイズの講師として参加することがきっかけで、今回このアカデミーを受講しました。2019年7月1〜7日の7日間で開催され、チェコ、スイス、フランス、そして日本から来た計5人の講師のレッスンを受けました。レッスンは7回受けることができ、受講生は22人。チェコ、フランス、ドイツ、スペイン、ポーランド、日本から集まりました。年齢も様々で、16歳から29歳の受講生がいました。


 会場はプラハ芸術アカデミー(HAMU)。旧市街からカレル橋を渡り徒歩5分の場所にあり、歴史を感じられる趣のある校舎でした。食事は学食、宿泊は大学のホテルでした。


   

6月30日


 0:01羽田発の飛行機に乗り、私たちは飛び立ちました。ドーハで乗り換え、午後プラハに到着。夜には歓迎会があり、チェコの料理、音楽を楽しみました。

   

7月1日

 

 いよいよレッスンが始まります。私たちはレッスンがありませんでしたが、他の受講者のレッスンを聴講することができました。同じクラリネットでもみんなそれぞれの音、演奏がありました。さらに海外の同年代の演奏を聴くことができたのはとても良い経験でした。アカデミー全体の雰囲気も、様々な国の講師、受講生がいたこともあり、色々な空気感や意気込み、目標が混ざり合っていて、私たちにとってとても心地よい空間でした。

 

 

 

 午後はピラティスの先生によるワークショップが開催されました。演奏家にとって大切な呼吸、身体の使い方ほぐし方、さらにはメンタル面の課題について学ぶことができました。身体を動かすことが好きなので、とても興味深い内容でした。

 ハンドメイドクラリネットで有名な、ドイツのSchwenk&Seggelke(シュヴェンク&セゲルケ)社展示ブースが数日間設けられており、古楽器モデル、ソプラノクラリネット、バセットホルン、バスクラリネットまで様々なモデルを試すことができました。夕食後には、近くの施設でチェコの先生によるクラリネット五重奏を聴かせていただきました。クラシック音楽が生まれた土地で学べることがどれだけ有意義なことか、再認識しました。また、チェコの日本大使館の参事官にお会いすることができ、チェコをより身近に感じることができました。


   

7月2日

【尾方】私がはじめにレッスンを受けたのは、チェコのVenyš(ヴェニシュ)先生のレッスンです。前夜のモーツァルトの演奏に感銘を受け、協奏曲の一番を見ていただきました。ヴェニシュ先生には特に、楽器を吹く時の息と身体の使い方を教えていただきました。私は緊張すると身体や喉を締めてしまいがちになるのですが、彼のレッスンを受けた後は解き放たれたような感覚があったのを覚えています。常にもっと自由に吹けるよう研究を重ねたいです。

【添石】私の最初のレッスンはヴェニシュ先生でした。やっぱりチェコに来たらマルティヌ(チェコ出身の作曲家)は見ていただかないと!と思い最初に見ていただきました。最初は言葉が心配でしたが、実際に吹いて見せてくれる場面もあり、充実したレッスンを受けることができました。個人的なことですが、楽器の角度のアドバイスを一言いただけただけで大きな変化があり、普段なんとなくになっていることを見直してみようと思いました。今回のレッスンの中で、なんだかんだ一番の収穫だったかもしれません。

 

 この合宿の醍醐味といえば、他国の受講生と交流できることにあると感じました。午後は、最終日の前日に行われるクラリネットクワイヤーの練習があったのですが、国が違えば練習の雰囲気も多様性に富んでいるなあと感じました。それぞれの個性が激しく調和し合う空間だったように思います。様々な国の言葉を一挙に知ることができたのも、楽しかったです。

   

7月3日

 

【尾方・添石】この日はチェコのMareš(マレシュ)先生にクラリネット・デュオをレッスンしていただきました。デュオの曲はチェコの作曲家が1999年に作曲したもので、音源もなければ今まであまり吹くことのなかった現代曲です。練習段階は音を並べることで精一杯でしたが、彼のレッスンによって光が見えてきました。あるフレーズへのイメージ、アゴーギグ、強弱のつけ方など全てが理にかなっていて、目から鱗の40分間でした。私は曲のイメージを明確にして頭の中で音が鳴らないと、その曲の表現ができないと考えているので、その道筋が明確に見えたことで演奏のクオリティが格段に上がったと思います。

 マレシュ先生はシンプルな言葉だけれど確実に伝わってくる、そんなレッスンだったと感じました。

 午後は前日と同じくアンサンブルの練習が行われました。

    

7月4日

 アカデミーの折り返し日です。時が経つのが早くなってきたように感じました。

 

 

【尾方】

 この日は3人の先生からレッスンを受けることができました。1人目はスイスからいらしたMolinari(モリナリ)先生です。モーツァルトのクラリネット協奏曲二楽章を見ていただきました。モリナリ先生もレッスン中にたくさん前向きな言葉をかけてくださり、私自身リラックスして受けることができました。そして、先生がおっしゃることが全てロジカルな内容だったということが印象的でした。ある表現をするにはここの音をどういう音程で、どういう息の使い方で、この倚音(いおん)はこう吹くといいよ、と具体的なアドバイスで、計画的ではあるけれどそのように吹くことで最高の表現に出会いました。もっと多くの曲の彼の吹き方を教わってみたいと思いました。

 

 

 2人目は田中先生です。レッスンではリュエフのコンチェルティーノを吹きながら、気候などで変化したリードや楽器によって崩れてしまった私のバランスを直していただきました。大学在学中もそうでしたが、先生のひと言で吹奏感や音色がかわるので、田中先生のレッスンは本当に興味深いです。また、他の国の学生たちも田中先生に興味を持ち、とても勉強になると言っていて、嬉しい気持ちになりました。

 3人目は、前日にもうけたMareš(マレシュ)先生のレッスンです。このアカデミーに向けて練習してきた、マルティヌーのソナチネを見ていただきました。やはりマレシュ先生のかけてくださる言葉は温かく、音楽を楽しみながら受けることができました。またピアニストも来てくださいました。ピアノの前奏の美しさに息をのみ、吹きながらしっかりと和声の移り変わりに耳を傾けました。いままで聴いてきた以上にこの曲を堪能することができました。マルティヌーの曲をチェコで学ぶことができたのは、今後の自信になると思います。

   

 

 

【添石】

 Molinari(モリナリ)先生のレッスンでは、ウェーバーの一番の一楽章を見ていただきました。モリナリ先生はいつもすっごくハイテンションな方で、その性格が曲の中にも見えるなと思いました。ここは劇的に悲しいとかハッピーとか、曲の表現をたくさん教えてくださいました。でもそれは何となくではなく、ハーモニーなど、ロジックがちゃんとあって何でこの音が重要なのか、悲しいのかハッピーなのか理由まで教えてくださったので、すごく分かりやすかったです。

   

 この日の夜は、受講生によるコンサート『THE BEST OF』が教会で開催されました。国も年齢も演奏する曲も様々で、仲間たちの熱い演奏に心を打たれました。そして私たちは田中先生と日本人の受講生の計4人でアンサンブルを披露しました。曲は J.セムレ・コルリの“カルテット”、西上和子さんの“さだめ”、そしてB.スメタナの“売られた花嫁”です。日本でも2回ほど合わせをして、チェコに来てからも何度か練習を重ねました。私たちのアンサンブルは海外の方々にとって本当に衝撃的だったようで、一音目から驚かれました。また、多くの人に喜んでいただきました。その反応が本当に嬉しかったです。


  

7月5日

 

 アカデミーも終わりが見えてきました。

 

【尾方】

 この日はニースからいたしたLethiec(ルチエック)先生に教わりました。とても気さくな先生です。ガロワ・モンブランの曲を見ていただきましたが、やはりフランス人の曲の捉え方はとても合理的であると感じました。例えば、長い連符があった時にただ闇雲に練習するのではなく、レの音に注目してそこに重心を置いてみる、ある音で区切ってみる、などという練習方法です。私には思いつかないようなアイデアをたくさん教えていただきました。一見、なぜこの音で区切るのだろう?と疑問に思うのですが、2〜3度そのように練習してみると、譜面通りに戻して吹いたときに簡単に吹けるようになっています。まるで魔法のようでした。

 

 

 

【添石】

 Lethiec(ルチエック)先生には、フランスの作曲家ルベルのファンタジーを見ていただきました。ルチエック先生も隣で吹いてくださるので、息の使い方や音のアタックの仕方がとても分かりやすかったです。大胆に出るところ繊細に出るところ、そのメリハリをつけるためのコントロールの仕方を肌で感じることができました。

  

7月6日

 

 

【尾方・添石】

 レッスン最終日です。最後のレッスンはVenzš(ヴェニシュ)先生でした。以前マレシュ先生に見ていただいたデュオの初演をヴェニシュ先生が務めたそうで、絶対に見ていただきたいと思いレッスンしていただきました。前のレッスンをうまく消化できたのか、曲の表現についてはたくさんのお褒めの言葉をいただきました。その中で、ヴェニシュ先生は実際に吹いたときの細かい表現や、技術面でのアドバイスをくださいました。

 この多くの学んだことをぜひ、皆様に聴いていただきたいです。私たちが日本で演奏したら、日本初演になることでしょう!

 

【添石】

 ボーナスレッスンとして、モリナリ先生のレッスンをもう一度受けることができました。ウェーバーの続きで二楽章を。前回のレッスンと同様ハーモニーのことに加えて、音程の取り方、その場面に合った指使いなどすぐに実践できることも教えていただきました。


 夕食後はクロージング・コンサートがあり、何度か練習してきたクラリネットクワイヤーの演奏を発表しました。クラシックからジャズまで5曲ほど、本番でもいい意味で個性があふれていて、いろいろな国から集まったアンサンブルはとても楽しい演奏になりました。

 コンサートの後は、アカデミー参加者全員での打ち上げがありました。チェコビール(ピヴォ)で乾杯!ここまでくるとみんなと仲良くなっていて、お別れがとても悲しくなりました。お開きの後、トラムに乗り2次会へ。夜中まで盛り上がりました!


  

7月7日

 朝食はいつも通り学食へ行きましたが学校は静謐を湛えていて、本当に終わってしまったんだなあと感じました。お世話になった方々に最後の“さよなら”をし、私たちは夕方の便の飛行機に乗って日本へ帰りました。これにてPrague Clarinet Daysは幕を閉じました。5人の先生によるレッスンから多くのことを学び吸収し、仲間からも刺激を受けた1週間でした。受講生同士でアドバイスをし合ったり、一緒に運指を検討したり、好きな音楽を共有するなど、どの場面も印象深いです。また、全くタイプの違う先生だったので、同じ曲を違う先生に見てもらうことで新たな発見があったり、全く違うレッスン内容なのに通ずるものがあったりと、かなり深い学びがありました。ある目標があり、それを達成するには道はいくつもあるのだろうと私は感じ、考えています。そしてこの経験は今後の私の人生において、あらゆる場面で心強い味方となるでしょう。お世話になった皆様、支え応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。

 

2019年8月

尾方 優佳

添石 紗静

大沼 博子